VANUATU バヌアツ
こんな僕でも、実は密かに“ソロアルバム”なんぞというものを、出したことがある。
へぇ〜という顔で頷いていると、彼は真顔になって言ったんだ。
本当だって。
あと、その島には野生のジュゴンが1頭、入り江に住み着いていて
子供たちが遊んでると、必ずやってくるんよ。
これがメチャクチャかわいい・・・・。
“タンナ島の海に住むジュゴンは 実は昔その島に住んでいた 体の弱い少年だった”
という始まりの物語にして
シナリオは宮本亜門さんに書いて貰うことになった。
こうして準備は少しずつ進んでいった。
裸族の住むカスタムヴィレッジという“村”に行き
“歓迎の踊り”を披露してもらった。
ここにはメラネシア人たちの生活や祭り・習慣など、昔からの伝統が今も保存されているのだ。
楽器は何も使わず、ただ声と足踏み、手拍子だけのシンプルな音楽なのだが
胸にビンビンと伝わってくる。
なんだかわかんないけど、涙が流れた。
話に聞いていた以上に、活火山の“ヤスール”はすごかった。
“膝”が本当に“笑って”しまったのだ。
あの地獄からの叫びのような、大地の怒りが噴き上げてくるような大轟音とともに
目の前まで飛んでくる岩・・・・。
すべてを闇に埋めてしまいそうな噴煙・・・・・・。
「いつ大爆発しても、おかしくないんだよ」
地元のガイドは笑いながらそう言った。
残念なことに、ボクたちが行った1ヶ月後、実際ヤスール山は大爆発を起こし
日本人を含む数人のかたが亡くなってしまった。
日本のテレビ番組で何度か特集を組んでいたけれど、一番おもしろかったのは
ポンキッキのなかで、ガチャピンがジュゴンと遊ぶシーンだ。
実は、その時ガチャピンの中にはいっていたのは
ボクの友人だったんだ。
ダイビングのインストラクターで、ニューカレドニアに4〜5年住んでいて
ボクが初めてニューカレドニアに行ったときに知り合ったんだ。
その後東京でダイビングショップを開いたんだけど、
ボクがライセンスを取ったとき、教えてくれたのが彼だった。
ジュゴンは手加減なんかしないでガチャピンに体当たりしていくんだけど、
その都度彼は着ぐるみの中で
「うっ」「いてっ」「このやろー」などと唸っていたのだ。
テレビのオンエアー上では、すごく仲良くジュゴンと遊んでいるように見えた。
すごく楽しかった・・・・・。
ジャケット写真の撮影も兼ねて行ったので、その後もいろんなところでロケをした。
地元の子供の顔のアップがジャケットの表紙になっているんだけど
道を歩いているときに偶然見つけたかわいらしい子だった。
すこしはにかみながら、カメラを見つめていた。
どこに行っても、いつも子供の“目”って澄んでいて美しいなぁと思う。
ピュアーであることってすごいことなんだよね。
ジャケットをクリックしてね
「天国にいちばん近い島」という映画でも話題になった
ニューカレドニアのウベア島。
いくつかの美しい南の海を見たけれど、空港からの車の中から見たこの海は
想像をはるかに超えていた。
美しいという程度のものではない。
雪のように白いパウダーサンドのビーチから
紺碧の空へと続く青のグラデーションは、
およそこの世のものとは思えない。
そのビーチに大の字になって倒れている写真も
ジャケットの中に収められている。
この島はボクたちが行く直前までの数年間
政治的な問題で住民たちの間に大変な確執があり
時には抗争も起き、危険なため旅行者は入れなくなっていた。
だがボクたちが旅のスケジュールを練っているとき、突然解決したらしい。
ほんとラッキーだった。
仕事にかこつけて行かせてもらったこの旅は
未だに過去最高の想い出のひとつとして
脳裏に焼き付いている。
タンナ島のカスタムヴィレッジで逢った酋長さん
元気かなぁ・・・・・