オーストラリア

 

あわただしい旅だった。


入国を予定していた日に
シドニー空港ストライキのため飛行機が飛ばず
オーストラリアでの滞在時間がはるかに 短くなってしまったのだ・・・・・・。

 

 

あれは確か、1993年初頭。


2度目のニューカレドニアへの旅行の時
オーストラリアまで足を延ばすことになっていた。
2週間の行程で・・・・・。





日本は冬。
南半球は真夏だ。

ニューカレドニアでの楽しい1週間が過ぎ
いよいよオーストラリアに出発だ。
旅行代理店の友人に空港まで送ってもらい、そこで別れた。

オーストラリアに行けば、もう使えなくなってしまうので
パシフィックフランは
殆どその日までに使い切ってしまっていた。

チェックインのため 空港デスクに並ぶ列の後ろについた。
しばらく待ってもカウンターは開かない・・・・・・変だなぁ。
すると
リバーブのかかったフランス語で
なにやらアナウンスが流れ始めた・・・。
列のみんなが一様に、ため息をつき落胆の表情をあらわにした。
ボクにはなんのことやら、さっぱり訳がわからず困っていると
近くにいたフランス人の老夫婦が、片言の英語で
「シドニーエアポート、ストライク!」
と教えてくれた。

ボクは一瞬狼狽したが、気を取り直して
ポケットに残してあったコインで
さっき別れたばかりの友人に連絡した。

旅行会社の彼にも、まだこの情報は入ってなくて
「聞いてないぞー!!!何しとんねん、ヤツらは!!」
と電話の向こうで怒っていた。
仕方なく、また彼に空港まで来てもらい
ヌメアのホテルに連れて行ってもらった。



それから3日目の夜中に
突然シドニー空港ストライキが解除されて飛行機が飛ぶことになった。
夜中の2時か3時ころだった。
みんな眠そうな顔で飛行機に乗り込んだ。

 

シドニー空港到着後
すぐに別の便に乗り換えて
オーストラリアのほぼ中央に位置する
“エアーズロック”に向かった。

 

想像以上にデカイのだ、オーストラリアは!

飛んでも飛んでも水平線まで赤茶けた土が続く。


やっと経由地のアリス・スプリングスに到着。
トランジットの時間が短くて、空港から出ることができない。
仕方なく空港内をブラブラ・・・・・。
その時にとってもカッコイイ《コート》を買った。
見るからに“オーストラリア”という感じの・・・・。

 

かなり疲れつつも、なんとかエアーズロックまでたどり着く。
ホテルの部屋ですこし仮眠をとった。
目が覚めて、ホテル 内をウロウロ・・・・。
ここまで来て
やっと“オーストラリアに来たんだ”という実感がわいてきた。


翌日はいよいよエアーズロックに登る!

ワクワクしながらベッドに入った。





エアーズロックはデカかった・・・・・。

近くで見ると、バケモノだ。
それにしても不思議な山・・・岩?

真っ平らな地面から突然飛び出たような形。





上まで登るのに、1時間30分かかった。

頂上にはたくさんの登頂を祝う人たちがいて
すごくおいしそうに水を飲んでいた。

360度の大パノラマ。  
『 壮観だ!』


しばらく宇宙にでも漂うクラゲみたいにフワフワしながら
さわやかな空気を吸い込んでいた。



さて、そろそろ降りる時間だ。
下りも一苦労だった・・・・・
足もガクガク、腰もガタガタ。(笑)



本来このエアーズロックは
原住民である“アボリジニ人”の聖地とされていて
今でも一般人が立ち入ることの出来ないエリアがある。

何カ所かの岩面には
この辺に住む“アルリジャ族”の伝説を描いたものがあるようだ。
彼らは、その絵で何を伝えたかったのだろう・・・・。





夕陽に染まるエアーズロックの
なんと美しいことか。

西に日が傾き始めると
エアーズロックも少しずつ表情を変えていく・・・・。
少し雨が降った後だったからか
艶のある何ともいえない光り方を見せてくれた。
またまた“宇宙”にいるのではないか・・・と思うほど
神秘的な時間を過ごした。



 

翌日はもう、メルボルンに入っていた。

とにかく暑い・・・・・というか
『熱いのなんの』なのだ!

その翌日の新聞にも、大きく報道されていた・・・・・
だって、42度もあったんだから。(驚


タクシーの運ちゃんは
クーラーも効かないのがわかってるみたいで、窓を全開。
吹き込む風がまた熱い!
汗が流れた・・・と思ったら
アッという間に蒸発してしまうのだ。
あんなに熱いところにいたのは、初めてだった。



   

イギリスの街を
そのまま持ってきてしまったんじゃないかと思うほどの出で立ちで
ボクを迎えてくれた。
ビクトリア様式の重々しい建物が並び
路面電車が走り・・・・・。
そんなすてきな街も、ゆっくり見て回ることができなかった。
とにかく時間がない。





夕方からはメルボルンでもっとも人気のある
オプショナルツアーに参加した。
「ペンギンパレード」だ。

海に漁に出ているペンギンたちが
夜になって自分たちの巣に帰ってくるところを
周りで人間たちが観察する・・・・というもの。

ペンギンたちはそれぞれチームを組んで、陸に上がってくるのだが。
とにかくカワイイ! キュート! タマラナイ!!

でもきっと・・・
それに慣れてる彼らは
「まーた変な人間どもが見にきてるぞ・・・・」
なんて思って笑ってたりして・・・・。(笑)


 


翌日には、シドニーに戻っていた。

旅行代理店に勤めている友人のお家に遊びにいった。
オペラハウスからそんなに遠くない、すてきなマンションだった。
ディナーとおいしい酒をご馳走になり
いい気分でホテルに戻る・・・・・。

そして、このドタバタの旅を振り返りながら
「旅って楽しいなぁ・・・」
などとニンマリしちゃうのであった。


翌日はもう、帰国の途につくのだ・・・・・。(早い・・・・)



アメリカでもロンドンでも、オーストラリアでもどこでも
海外で頑張ってる日本人を見ると
なぜか嬉しくなってしまうのだ!
それに、尊敬してしまうのだ!

ボクにもっと語学力があったら
もっと自由な時間があったら・・・。
と、ついつい「ないものねだり」をしてしまうんだな。

 

じっくりとオーストラリアを堪能した訳ではないが
オージーの陽気で明るい人柄は
非常に好印象を抱かせてくれた。

味のある発音にも
なんとなく愛着を感じたりしながら・・・・・。


あ・・そういえば。
オーストラリアも単語の短縮化がけっこうあるみたいで
おもしろいと思ったのは
ボクのような「ミュージシャン」のことを「ミューゾウ」って
言うらしい・・・・・。



これからも「ミューゾウ」としての“引き出し創り”のために
いっぱいいろんな旅したい!・・・
と思う今日この頃。